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フィルター

+*+-+*+-+*+-+*+-

君はいつも
サングラス越しに世間を凝視していた

深い青のフィルター越しに見た世界は
海月の泳ぐ神秘の世界か
人魚に生気を吸い取られた者の墓場か

僕のカラダは
海底に裂けた闇に堕ちて行ったから
君の眼には映らない筈
もう映らない筈
未だ 映らない筈

最近僕も
サングラスをかけ始めた
寧ろ外せなくなった
裸眼では
心許なくて

君が塗り込めた
粗塩のお陰で
僕の赤黒く爛れた傷も
腐敗せずに済んでいるよ
そして
焼けつく喉の痛みと
凍るよな冷や汗が
辛うじて僕を
黄泉の世界から引き戻している

君の目には
変わらなく映るのだろう
今の僕も
僕の亡骸も
蒼い海の藻屑

僕のフィルターは
太陽光に近い

人の匂いも
人の温かさも感じられる様に

少しずつ
少しずつだけど
何かが変わりつつある

君には後退に見えるかもしれないが

僕はいつでも僕だから

フィルター越しに見る世界は
猛暑間近な梅雨の街
ギラギラした
太陽と欲望が溢れる街

噎せ返る熱気の中
蜃気楼に惑いながら

僕は
僕のまま

ナくしたモノはカエらないから

このままで

大切なモノだけ持って

肩の力を抜いて
己の浮力を信じて
闇を背に
太陽(ひかり)を目指して
地上へ

無くした物は返らない
亡くした者は帰らない

大切な
本当に大切な
モノだけを胸に抱いて
地上へ

地上へ


+*+-+*+-+*+-+*+-


汚れ、傷つき、歪み…でも被害者が加害者になってよい訳ではありません。多くの人を傷つけてきた罪もまた、背負っていかなければなりません。
恋愛とは、得るモノも多く…でも失うモノはそれ以上に多いのかもしれません。でも、それらが血となり肉となり得るのであれば、いつかは失ったモノ、そして失ったという事実にさえ、価値が見いだせるのかもしれません。


かつて愛したある男性(ヒト)へ対する詩は、これで最後にしたいと思います。
これからは、もっと普遍的な“愛”を描いていきたい…それが今の私に出来る精一杯の、お詫び、そして感謝の気持ちです。

+*+-+*+-+*+-+*+-


詩:2004/7/8
文:2004/7/24

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